#5 雪玉効果
小さな変化は大きくなる
まずは、小さな変化の種を見つける。もしもなければ、小さな変化を作り出す。次にその小さな変化を、徐々に大きなものへとしていく。これが雪玉効果です。雪山のてっぺんにある、小さな雪玉が、いったん坂を転がり始めると、ドンドン大きくなっていく様子と似ているので、このような名前が付いています。
もしも、職場に仕事をサボってばかりの部下がいたら?その部下をしっかり観察します。たとえ、どんなにサボリ魔だといっても、1日中、ずーっとサボり続けているはずはないですから。そして、ほんの一瞬でも仕事に取り組んでいる時間を見つける。そして、あとで指摘してやるのです。「今日の3時頃は、随分集中して仕事に取り組んでいたようだったね?」すると、部下は答えてくれるでしょう。「ああ、ちょうど契約が取れそうな仕事だったんで乗り気だったんですよ!」そうやって、相手の中に既に隠れている小さな変化を拾い上げていく。そして、その変化を徐々に拡大していけばいいのです。
雪玉効果の一番のメリットは、相手の抵抗が少ないこと。いきなり大きい変化を引き起こそうとするから、激しい抵抗にあいます。既にある、小さな変化の種を見つけて、それを利用すれば、抵抗はほとんど受けません。
どんな小さな変化でも、最初に変化を作り出してしまえば、「変化する」ということを、相手は受け入れたことになります。
一度「変化する」ことを受け入れてもらえれば、その変化の方向や量を変えていくことは、いきなり大きな望みどおりの変化を引き起こしにかかるよりも、はるかにカンタンです。
ビンのふたがきつく締められていて、開けられないときがありますね。そんなとき、多くの人は開ける方向にひねってみても開かないならば、こんどは閉める方向に少しひねってみます。すると、ほんのわずかに動きが出るのでもう一度開ける方向にひねってみる。そうやって小さな動きを拡大して大きな動きを作り出す。開ける方向でも閉める方向でもとにかく、ほんの少しでも動けばいいんです。最初の小さな変化が何より重要です。あとはいくらでも大きくできるんですから。