ミルトン・エリクソンや催眠トランスを学びたいみなさんへ
エリクソンの治療の7~8割はトランス誘導を使わない
私は縁があって、
大学生の頃に催眠トランスというものに興味をもちました。
その流れでミルトン・エリクソンを知り、
エリクソンの心理療法に興味を持ち、
気がついたら、エリクソンについて教える仕事をしています。
めんたねに学びに来る人たちからしばしば
「エリクソンはどこから勉強したらいいですか?」
「催眠はどうやって学べばいいですか?」
このように質問されます。
あまりにたくさんの人から質問されるので、
いっそ、最初からコラムとしてネットにアップしておけば、
同じような人たちのお役に少しでも立てるかもしれない、
そう思いまして、エリクソンと催眠トランスについての学習ガイドを
ここに書いておこうと思います。
まず、学習に取り掛かるにあたって知っておいてもらいたいのは、
ミルトン・エリクソンと催眠トランスの関係についてです。
エリクソンといえば催眠、というイメージが強いのですが、
たとえば、エリクソンの治療例集『アンコモンセラピー』などを見る限り、
あからさまなトランス誘導を用いた治療例は全体の2~3割程です。
残りの7~8割は、わかりやすいトランス誘導を用いていません。
あからさまなトランス誘導とは、
相手をトランス状態に入れ、その状態をはっきりと自覚させ、
そのトランス状態を利用して、クライアントに働きかける、ということです。
ただし、エリクソンの場合、
そういったわかりやすいトランス誘導を用いていない治療例においても
暗示的な言い回しを使ったり、
クライアントとの関係を構築するペーシングを行ったり、
クライアントの無意識に影響を与えるアナロジーを用いたりと、
催眠由来の各種技法が自然なかたちで会話の中に埋め込まれています。
めんたねでは、そのような会話技術を催眠コミュニケーションと呼びます。
ですから、以下では
エリクソンが行っていた催眠トランス誘導の学習と、
トランス誘導における技法や原理を会話レベルにも応用して
心理療法や他者への働きかけに用いる
催眠コミュニケーションの学習とに分けて、
それぞれ説明していきます。
→次に進む