エリクソンの心理療法学習用書籍2:『アンコモンセラピー』
『アンコモンセラピー―ミルトン・エリクソンのひらいた世界』二瓶社
ジェイ ヘイリー (著), Jay Haley (原著), 高石 昇 (翻訳), 宮田 敬一 (翻訳)
ミルトン・エリクソンの治療例集『アンコモンセラピー』です。
これは、素晴らしい本です。
エリクソンの治療例が丁寧に紹介されています。
一つ一つの症例を丁寧に読み込み、
「なぜこの治療例では治療がうまくいったのか?」
「なぜエリクソンはこのような治療方針を選んだのか?」
そういったことをじっくりと検討することで、
徐々にエリクソンの手筋というものが見えてきます。
しかし、初学者にとっては大変に難解な本でもあります。
いきなり『アンコモンセラピー』を読めば、
「なんでこんな治療で患者が治ってしまうのかわからない」
「なんでこんな馬鹿げた指示に患者が従うのかわからない」
多くの人はそう思うはずです。
私も最初はそうでした。
そこで、先述した『ミルトン・エリクソン入門』を頭に入れた上で、
改めて『アンコモンセラピー』を読み直すと、
最初よりは理解できる部分が増えるはずです。
正直、実際に対人援助的関わりの現場を持っている人でないと、
体感レベルで理解できないこともたくさんあります。
しかし、あえて本による独習のみでエリクソンを理解しようとすれば、
この『アンコモンセラピー』を何度も何度も繰り返し読み込み、
一つ一つのエリクソンの言動の意味を
自分なりに考えていく作業が重要になるでしょう。
最終的には、自分の頭でしっかりと考え、
単なる知識ではなくて心の底から実感として理解しないと
現場でエリクソンの叡智を応用して使うことはできないのです。
とにかく、パッと一読してその内容が全てわかるとは思わないほうがいいです。
今まで、そのような方を見たことがありません。
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